−神奈川県・葉山にある『ARCHI』のショップ1999年にディレクターに一色紗英さんを迎えスタートした『ARCHI(アーキ)』は、毎シーズンオーガニックファブリックなど厳選された素材のみを使用し、着心地やディテールにこだわる、本質を大切にする女性たちに愛され続けているブランドです。『ARCHI』は神奈川県・葉山にアトリエを移して以降、年2回の展示会を葉山のアトリエと都内の会場で実施してきました。入社当時はデザイナーを務めていたという谷さんに、TERMINAL導入当時の『ARCHI』についてお聞きしました。「私は2011年にキッズラインのデザイナーに空きが出たので、以前より友人だったディレクターよりお声がけ頂き入社しました。その後さまざまなライフステージの変化に伴い、『ARCHI』はより大人の女性に向けたブランドとしてシフトしていくのですが、そのタイミングでキッズラインは休止し、私もレディースのデザイナーになりました。そして5年前ほどからプレス兼セールスの担当に移り、現在に至ります」前職のアパレル会社でも、オリジナルブランドの立ち上げやプレス、MDなどさまざまな担当を兼務されていた経験があり、『ARCHI』でもデザイナーにMD、そしてプレス、セールスと、かなり幅広い業務をこなしてこられた谷さん。TERMINAL導入のきっかけもこうしたブランドの変化に伴い必然だったと語ります。スタッフ総出で乗り切っていた導入前の展示会の課題「葉山にアトリエを移した頃、スタッフが葉山に通えなくなるなど組織にも変化があり、まさに適材適所という形で、スタッフが色々な仕事を担当することになりました。TERMINALを知ったのはまだ私がデザイナーの頃で、当時のプレスや生産管理の担当者と一緒に、お話を伺ったのを覚えています」「当時はすべてがアナログだったので、展示会前後は本当に大変でした」と導入前を振り返る谷さん。ブランドの成長に伴いオーダー数が増えたこと、そしてすべてアナログでの管理していたことで入力ミスが多くなり、スタッフの業務負担はさらに増えていったそうです。「当時、展示会前は朝方まで準備することがほとんどでした。まず商品のサンプルが揃うのが展示会の10日ほど前。そこからすべての撮影をして、データを落とし込み、ラインシートも自分たちで作るため、本当に展示会ギリギリまで作業に追われていました。当時は今よりも型数が多く、80型くらい作っていたのに加え、『ARCHI』では毎シーズン品番だけでなく星の名前や石の名前などをアイテムに付けているため、それらの入力もすべて手入力だったので大変な作業でした。Mac用のソフトをインストールして使っていましたが、Windowsでしか出来ない作業もあったため、結局2台のPCで作業をしなければならず、非効率的でしたね」展示会前後はセールスだけでなく、デザイナーもプレスも皆でそれぞれの業務を兼務し乗り切っていたと話す谷さん。実際にオーダーの入力業務をプレスが手伝ったり、展示会後のオーダー数の読み合わせをデザイナーが手伝うなど、まさにスタッフ総出で対応されていたそうです。さまざまな課題を抱え、出合ったのがTERMINAL。導入前にどのような期待を持たれていたのか? また、導入後についてお聞きしました。オンライン展示会の認知が少ない中チャレンジした初回の展示会「展示会における業務負担を軽くできるという説明を受けて、アナログからデジタルへのシフトということで少し不安はありましたが、『一緒にやっていきましょう!』と担当の方にお声がけいただいたことで、自分たちにとっても身近に感じられたので、未来を見据え、挑戦してみようと思いました。結果、振り返ってみてとても良い挑戦をしたと思っています。当時はオンラインストアも展開していなかったのですが、業務をデジタル化していく必要性は以前から感じていましたので、出来ることにはどんどんチャレンジしていこうというフェーズにいました。今まで本当にアナログでしかやってこなかったので、TERMINALを導入してみて初めてのことだらけでしたが、担当の方からしっかりサポートをしていただいてましたので、そういった不安はすぐに払拭されました。」「当時は今ほどTERMINALを利用しているブランドがなかったので、導入後初の展示会ではほとんどのバイヤーさんが『なんですか?それは?』という反応でした(笑)。古くからお付き合いしている取引先が多いので、まさに突然という感じだったようです。ただ、レクチャーしてみるとすんなりと受け入れてくださる方が多く、ほとんどのバイヤーさんがTERMINALから発注をしてくれました。PCの操作に慣れていらっしゃらない方には、少しずつご利用いただけるように案内をしていくことで、2回目のの展示会では全てのバイヤーさんがTERMINALから発注をしてくれるようになりました。」当時と比べて今はバイヤーの方の反応も大きく変わり、TERMINALを使うことが当たり前になっていると語る谷さん。導入後の業務効率化については、「展示会にかかる業務負担は半分以上削減されたと思います。今は当時よりも少ない人数で対応することができていますし、何人かでやっていた作業が今は一人だけでできるようになりました」と、全体の効率化につながったとのことです。「実際に見て購入したい」という方に向けた、オンラインならではの施策今年の3月中旬に行う予定だった秋冬の展示会は、新型コロナウィルスの影響で3月末に時期をずらし、葉山での受注会とTERMINALのみで開催した『ARCHI』。葉山での受注会は感染症対策の観点から人数を限定していたため、 来場できない方からのオーダーはTERMINALを活用していただくことができたとのこと。「いろいろな方になぜ私たちのブランドは大丈夫なのか聞かれるのですが、それはTERMINALを使っていたから。コロナが拡大する前に知り合いのブランドにも紹介をしましたが、こんな時代だからこそ他社にももっと活用が広がればいいなと感じました。多くの人にコレクションを見ていただけないことがショックで、ぎりぎりまでどうするか考えました。その結果、通常のオンライン展示会に加えて、初めての一般受注会もオンライン上で行うことに決めました。」受注生産型だからこそ「実際に見て買いたい」というファンも多い『ARCHI』ですが、オンラインで実施した一般受注会では、新たな試みとしてInstagramに新たなアカウント『ARCHI_2020AW』を設け、アイテム全てのLOOK、物、ディテールに寄った写真を先行公開したとのこと。そういった取り組みによって実際に商品を見られない中でも購入するお客様が多く嬉しかったと続けます。今回取材にお邪魔した春夏の展示会は、感染症対策を十分に行いながら無事に開催することができたとのことです。長いお付き合いを大切にするブランドだからこそできること−10月に無事東京で開催された『ARCHI』2021春夏展示会の模様最後に、このような時代でもオンラインで繋がれることの魅力について語ってくださいました。「春夏の展示会を無事に行うことはできましたが、まだまだ地方のバイヤーさんなど、東京に来ることに懸念があるお取引先も多くいらっしゃいます。そういうバイヤーさんからは『前回同様TERMINALでオーダー出来ますか?』と聞かれることも多く、私たちもなるべくリモートでのやりとりでアナウンスするようにしています。地方のお取引先には、20年以上お付き合いしているバイヤーさんもいます。そういうつながりが有り難いからこそ、TERMINALのようなデジタルの利便性を活用しながら、アナログな部分も大切にしつつ、これからも進化を続けていけたらと思っています」『ARCHI』が20年以上愛され続けている理由は、時代の流れを掴み、常に新たなチャレンジをしてきたからなのかもしれません。今後もデジタルとアナログのバランスを維持しながら、サービスをより一層活用していくとのこと。これからの新たな活用事例にも注目したいと思います。