昨今加速するアパレル業界の少人数制ですが、『JOHN MASON SMITH』や『JANE SMITH』もPRやセールスは外部に委託しつつも、受注業務は現在3人で担当しているそうです。ブランド設立当初はデザインから集計・出荷の生産管理、個人オーダーの対応に至るまでを吉田さん1人で行っていたということですが、そんな業務の効率を少しでも改善するために目を向けたのがTERMINAL だったと言います。「集計の際にどうしてもミスが出てしまうのと、個人オーダーに関しては優先順位がお店になってしまい、納品にタイムラグが起きてしまっていました。これはどうにかしなきゃと思い、一念発起してTERMINALの営業の方に相談しました。周囲の様子を観察しながら1年ほど検討して2017年春夏シーズンにようやく導入しました」(代表、デザイナー・吉田雄二さん)−代表でありデザイナーの吉田雄二さん実際に導入するかどうかの検討期間には、他社のシステムとの比較や自分たちでシステムを作る方がいいのかなど、いくつかの代案を考えていたとのことですが、一番の決め手となったのは、TERMINALを導入している他ブランドとバイヤーさんが多く被っていたことだったと言います。「システムって皆さんが使えば使うほど共通認識で良くなっていくじゃないですか。さまざまなシステムがあって、バイヤーさんたちが各システムに合わせていかないといけないのかと考えると、どこにするのが妥当かすぐに決められなかったんですよ。なので、TERMINALを見ながら、取引先の被りを探したりして市場を観察していました。あとは、うちでセールスをお願いしている『DEARGUEST(ディアゲスト)』が先にTERMINALを導入していたので、同じシステムなら連携が取りやすいかなとも考えました」(代表、デザイナー・吉田雄二さん)−「これまで自分で作り上げないといけなかった集計データが、パッとグラフなどで表示されるのでありがたい」と本宮さんデジタル化でミスが無くなり、ストレスも軽減これまでさまざまなブランドの導入事例の取材時に必ずと言っていいほど出てきた、集計時に起こる人為的ミスのエピソード。なおかつ、ファックスで届いた発注書を打ち込み、集計していくという作業は時間もかかり作業が滞る上に、時には大きな損失となるリスクも。集計を担当する吉田さんも同様で、毎回「またミスはあるだろうな」という半ば諦め覚悟で行っていたそうです。しかし、システム導入後はその懸念要因が無くなり、業務の簡略化だけでなく精神的にも楽になったとのことでした。「ミスって完全に自分たちの思い込みによって起こるので、どうしてもゼロにするのが難しくて。しかも発注時は分からなくて、納品のタイミングで足りないとか多すぎるなどが発覚するので、ずっと不安な状態が続くんですよね。その後の手間とストレスがほとんど無くなっただけでも大きな進歩です」(代表、デザイナー・吉田雄二さん)また、ミスの他にも、作業効率が良くなったことで洋服の生産行程にも変化があったとのことでした。−マネージャーの本宮力さん「物作りにおいて、旗屋さんや加工する工場が減ってしまい、1カ所に集中して混んでしまうことが結構起きていまして。発注が早い人から作業をしていただくのですが、混み合ったことにより納期が遅れてしまうことがあったんですよ。1日遅れたり、自分たちの前にロット数の多い注文が入ってしまえば、後回しにされてしまったりしていたのですが、TERMINALを導入してからは当時の読み上げ方式の集計よりも格段に早くなり、生産の効率も上がりました」(代表、デザイナー・吉田雄二さん)−メンズライン『JOHN MASON SMITH』の2019年春夏コレクションさらに個人オーダーを担当する本宮さんは、展示会の度に必ず何人か現れる字が読み取れないオーダーシートに関して頭を悩ませていたとのことでしたが、TERMINALのオーダーシステムでは自分で詳細を入力する方式なので、それらの心配も無用となったとのこと。「あだ名で覚えていて本名を知らなかったりなど、名前が読めないと誰もその人が分からないということがたまにありました。オーダーシステム上では、メールアドレスや電話番号を入力するようになっているので、必ず注文者に辿りつけるようになり安心しています」(マネージャー・本宮力さん)−レディースライン『JANE SMITH』の2019年春夏コレクション 作業効率化の他にも、展示会の受注発注の画面において服の画像と説明を入力し、そのシーズンのラインナップをバイヤーさんたちに常に見えるようにする手法を採っている同ブランド。これにより、展示会で一回説明するだけでは覚えられないことでも、その画面を見れば確認できるようになったと言います。「うちは特にPR会社やセールスも外注しているので、テキストを書いたりしてもらう時もそこを見れば良いようにしておくと便利でして。バイヤーさんはもちろん、みんなが確認しやすいように工夫しています」(マネージャー・本宮力さん)−今のTERMINALのシステムに満足しながら、「まだまだ使いこなせていない」とも 「機械に強い方じゃない」という2人は作業の効率化とミスが防げただけでも大満足とのことですが、今後は請求書が一発で発行できたり、出荷が絡んだシステムの構築も切望しているとのこと。そしてアパレル業界特有のアナログな風潮についても語ってくれました。「どうしてもまだアパレル業界ってローテクの方がかっこいいというような感じがありますよね(笑)。自分たちの手で出荷しているのが“善”みたいな。そういうところがもっと寛大になって、少しでも楽に出来るようになっていければいいですね」(代表、デザイナー・吉田雄二さん)