−営業・生産管理を担当する保坂譲さんアパレル業界では先駆けだった管理システムのデジタル化2016年にTERMINALを取り入れてから5回の展示会を終えたという『Scye』は、本システムを導入する前から他社のWEB受注システムを導入しており、積極的に管理のデジタル化を試みてきた企業のひとつ。TERMINALに利用サービスを切り替えた2016年は、取引先のバイヤーがようやくオンラインでの発注に慣れてきた時期だったと言います。「任せられることは機械に頼ろうという社内のムードもあり、生産管理システムを構築するなど、比較的早い段階からデジタル化にトライしていました。そんなことから、他社のWEB受注システムを導入したのですが、卸には対応していたものの展示会のパーソナルオーダーには対応していなかったことも大きな理由として、TERMINALに切り替えることにしました。」(営業・生産管理 保坂)−プレスを担当する山田さんWEB受注システムを切り替える大きなきっかけとなった展示会での個人オーダー。かつては、会場で紙のオーダーシートに手書きで記入してもらっても、集計時には誰の関係者なのかわからなくなってしまったり、煩雑な管理になってしまっていたので、このタイミングで展示会に呼ぶ関係者の見直しを行ったり、整理を試みることとなったそうです。「今までの展示会だとその場でオーダーを完了しなければいけないため、勢いで色々オーダーしていたというケースもあったと思います。個人オーダーをスマホからできるようにしたことで、一度持ち帰って考えることができるようになり、みなさんにきちんと吟味して選んでいただけるようになりました。それゆえ、オーダーは心なしか以前より少なくなったようにも感じますが、結果的にちゃんと気に入った商品を購入いただけるようになったということだと思いますし、とてもいいことだと考えています。」(プレス 山田)個人オーダーの持ち帰りを可能にすることへのオーダー数への影響については、各ブランドで賛否両論ありますが、売上云々ということではなく、「着用してもらわないと意味が無い」という視点は、ブランドとしてとても本質的なあるべき姿だと感じます。−受注データの一元管理ができるようになったことより、カラーやアイテムごとに何が売れているかを見れるようになったのも便利と話す、保坂さんと山田さんデータ化によりミス防止と時間短縮が実現『Scye』のアイテムの特徴のひとつとして挙げられるのが、ベーシックかつユニセックスなウエアを多く揃えているということ。それゆえ、サイズ感のみ異なるアイテムの場合は一見見分けがつかず、展示会ではメンズとウィメンズを間違えてオーダーしてしまうバイヤーやプレス関係者が多くいたそうです。「中でも多いのは、男性なのにウィメンズをオーダーしてしまうケース。それでも、実際に製品は存在するので、疑問に思いながらもそのままオーダーを受け付けてしまっていたんです。ご本人が着るのではなく、奥様のためにオーダーしている可能性もありますので。TERMINALを導入してからは、オーダー時に入力画面で確認できるようになったので、そのようなミスが改善されつつあります」(営業・生産管理 保坂さん)その他にも、オーダー期間中はバイヤーからオーダーを変更したいという問い合わせが多いとのことで、その際にも即座に確認ができるので、修正作業もスムーズになったと言います。−“マーカンタイル=商売、取引所”という名の通り、商店のように服から雑貨までが揃えられている直営店の店内ではブランドの世界観が表現されています好評価は社内だけでなく、取引先のバイヤーからも自社内の作業が格段に効率化できたという一方で、取引先のバイヤーも受注システムの新たな使い方を見つけつつあると語るのが、営業・生産管理の保坂さん。「地方から来るバイヤーさんの中には、TERMINAL上に公開した絵型を新幹線でチェックをして展示会の予習をしているという人がいました。事前に今期ラインナップしているアイテムを頭に叩き込んでいるそうで、そうすると気持ちの入れ方も変わるのか、オーダー数が以前より増えている気がします」(営業・生産管理 保坂さん)また、データの書式に制限があった以前のシステムと比べて、取引先ごとのフォーマットに変換ができるようになり、その使い勝手の良さもバイヤーの方たちが太鼓判を押しているとのことでした。−直営店はメンズやウィメンズなど性別を区切らない服の売り方も特徴でジェンダーレスな提案がされていますさらなる活用のために求めるアップデートオーダー期間中には、今回のオーダーにおける商品動向を問い合わせしてくるバイヤーの方も多いそうで、保坂さんは今後のTERMINALへの希望として、ひとつユニークなアイディアを教えてくれました。「例えば、『パンツでショーツとロングがあった場合はどちらが人気か』みたいなことなんですが、毎回必ずある問い合わせなんです。これに関しては、展示会で接客した時のお客様の反応とオーダーとで違うこともあるので、一概には言い切れなかったりします。なので、ホテルの予約サイトとかにもあるように、オーダーシステム内に“今、こちらの商品のオーダーが入りました”とか、“○人が商品を閲覧しています”のような表示が出ると、バイヤーさんたちの背中を押してくれるのではないかと思っています」(営業・生産管理 保坂さん)−ブランドのトレードマークである“サイ”のパッチが付いたアイコニックなニット一方で、主にプレス関係者の接客から来場者管理を担当している山田さんは、“顔の見えない人”を減らすために、個人オーダーシステム内にプロフィールの表示ができるようになることを切望していました。「ID的な役割を果たしてくれる、顔認証付きのプロフィールがあったら管理が楽になりそうです。昔と比べるとかなり来場者の整理ができてきましたが、やはり今でも社員の誰とも面識がないという人は存在するので。また今は手動でやっている展示会の出欠確認も、そのIDを使ってQRコードでできるようになれば、もっと効率化できるかなと思いました」(プレス 山田さん)−千駄ヶ谷の直営店「Scye Mercantile」のエントランスは緑が飾られたクリーンな雰囲気