「自分で穿きたいパンツ」を形にした西野大士の挑戦今回の取材の現場は東京・千駄ヶ谷にある『NEAT』の直営店「NEAT HOUSE TOKYO」。パンツに特化したブランドとして設立された『NEAT』の商品はセミオーダーにも対応しており、全国各地からファンが同店を訪れています。『NEAT』は2015年の設立。デザインとディレクションを担当しているのは株式会社にしのやの西野大士さんです。西野さんは『BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)』でプレス担当として実績を積んだ後、PR業として独立。その実力を評価したブランドから次々とPR業務を任されていく中で、「独立したからには自分の夢も叶えたい」と新たな挑戦を構想し始めました。「『BROOKS BROTHERS』退職後も、好きなブランドだったので普段から着用していました。ただ、ワークスタイルやライフスタイルがカジュアルになったことで、『BROOKS BROTHERS』のスラックスは自分のスタイルにマッチしない日も出て来ました。そんなことを考えながら趣味のマラソンを走っていた時に、ふと『自分で穿きたいパンツを作ってみよう』と思い立ちました」ただし、西野さんはプレス業のみの経験だったので、デザインの実績はありません。そこで知り合いのパタンナーさんにお願いして、自分が穿くため用に自分が理想とするパンツを作ってもらいます。それを見たファッション業界の友人たちから、『自分のものも作って欲しい』と頼まれたことから、さらに数本を製品化。この時点ではまだ“ブランド化”までの発想はなかったそうです。異例のスタートを切ったパンツブランド『NEAT』の軌跡やがて『NEAT』の独自性に気づいたプレス業界の友人たちから「展示会を開くべきだ」という提案を受けます。しかし西野さんは当時、「展示会の本当の意味さえ理解していなかった(笑)」と振り返ります。「プレス業務しか経験がなかったので、バイヤー向けの展示会という仕組みを全く知らなかったんです。『展示会を開いたらバイヤーが注文してくれるの? それって素晴らしいじゃないか』というほど無知でした(笑)。ただ、バイヤーとの繋がりがなかったため、最初は編集者と友人たちだけを招いての展示会からスタートしました」初回展示会では49本のオーダーが入りました。サンプル製作の経験はあったものの、量産体制は整っていなかった西野さん。しかし、知人がOEM生産会社に勤めていたという幸運な縁から量産化が実現し、『NEAT』は本格的なブランドとしての一歩を踏み出すことになります。『NEAT』の評判を大きく広めるきっかけとなったのは、セレクトショップ「L'ECHOPPE(レショップ)」での取り扱いでした。ベイクルーズの知人が連れてきたバイヤーが、現在ファッションディレクターとして活躍する金子恵治さん。金子さんは即座に『NEAT』の魅力を認め、取り扱いが始まりました。「当時、『レショップ』はファッション関係者から高い注目を集めていました。それまでインポート商品ばかりだった店で、突如として日本の新ブランド『NEAT』が取り扱われることになり、大きな話題を呼びました。それまでバイヤーとの接点がなかった私たちですが、その後は徐々に全国のセレクトショップのバイヤーから声をかけていただけるようになったんです」時間とミスの削減を実現したオーダー管理『NEAT』のスタート当初、卸先はわずか2店舗で、アイテムも5型のパンツのみでした。その頃TERMINALから提案もありましたが、ブランドの規模からしてもシステムへの投資は難しい状況だったため、一旦見送ることに。しかし、取引先とアイテム数が徐々に増えていく中で、西野さんは在庫管理や集計作業に頭を悩ませるようになります。「最初は取引先が2軒で5型のパンツだけでしたから、簡単なエクセルで対応できていました。でも数がどんどん増えていって、最終的には丸2日もかけてスタッフと慎重に集計しなければならない状況になってしまって。そんな時、一人でブランドを運営している知人から『絶対TERMINALを利用した方がいい』と強く勧められまして(笑)。それで3年前に導入を決めました」TERMINALを使用して感じたメリットは複数あるとのことですが、特に大きかったのは、オーダーの集計がスムーズになったことと、そのデータを量産工場とそのまま共有できる点だったと西野さんは話します。「以前は集計作業に時間がかかっていましたが、TERMINALを使うことでミスもなく作業時間も短縮され、さらに工場や倉庫とも情報共有ができるようになり、大変助かっています」特に『NEAT』の場合、TERMINALのシステムと連携可能な倉庫と契約していたこともあり、スムーズな連携が実現できたそうです。PR戦略にも貢献 ブランド成長を支える情報基盤現在『NEAT』は、国内約30〜40店舗、海外ではドイツ、イギリス、カナダなど10店舗に卸先を拡大し、海外からのオーダーも増加傾向にあります。「国内のバイヤーさんは全てTERMINALをご存知で、最近では海外のバイヤーからも『TERMINALを知っている』という声をよく聞きます」西野さんは、ブランドディレクター、デザイナー、バイヤーの立場から、TERMINALの多くのメリットについて語ります。「前シーズン、前々シーズンまでさかのぼって、各卸先の売上が一目で確認できます。アイテムの企画時には、どの型や生地が人気があるかの傾向も把握できます。当店でもバイイングを手がけていますが、バイヤーとしても非常に使いやすいシステムです。直営店の在庫も卸先として登録しているため、在庫管理も効率的に行えています」さらに、PRを主導する立場からも、TERMINALの有用性を西野さんは指摘します。「展示会を開催してから実際の商品展開までは半年あります。その頃には次のシーズンの準備に入っているため、商品情報を正確に覚えていないこともあります。そのため、インスタグラムへの投稿時には、展示会で使用したTERMINALの商品情報を参照しています。今では、TERMINALなしでのブランド運営は考えられません。使用をやめるとすれば、ブランドが縮小して以前のエクセルで十分になった時くらいですね(笑)」TERMINALは、小規模から大規模まで、あらゆるビジネスに対応可能なシステムです。それぞれのブランドの規模に合わせてご活用いただけますので、導入についてはお気軽にご相談ください。