社員はデザイナー1名寺田典夫さんが2018年AWシーズンよりスタートしたブランド『YOKE』は、立ち上げからわずか数年で「TOKYO FASHION AWARD 2022」を受賞するなど、注目の東京ブランドとして知られています。現在も着々とファンや卸先を拡大させていますが、驚くべきはスタートから取材時現在に至るまで、社員はデザイナーである寺田さんお一人でブランドを運営しているということです。 「生産や営業窓口、プレスに関しては部分的に外部の方に助けていただいていますが、前職で生産から販売まで全部通してやらせていただいていたので、ひとりで全部をやることに抵抗はありませんでした。会社を辞めて2年間はフリーランスデザイナーとして仕事をしていて、ダメもとで始めた自分のブランドだったということもありますが、営業も全く嫌ではなく、むしろ卸先さんやバイヤーさんと直接お話をするのが好きなんです。最近さすがに手が回らないところも出てきたので、人を入れないといけないと考えるようにはなっていますが(笑)」『YOKE』の卸先は現在国内で40社強、そして海外でも20社と取引をするなど、社員一人で運営するブランドとしてはかなりのスケールに拡大しています。そうした中で、展示会オーダーを正確に、業務を効率化するために取り入れたのがTERMINALでした。ブランド名も込めた「つなぐ」想いを展示会業務にも『YOKE』がTERMINALを導入したのは2019年AWシーズンから。それまでの2シーズンは、エクセルによる自作のオーダーシートに手書き、手打ちをする形で受注していたそうです。 「前のブランドにいた時も同じやり方をしていたのですが、何人がかりで確認をしても、どうしても見落としやミスが起こってしまっていて、受注作業自体が怖くなっていました。でも前の会社が僕の退社後にいつの間にかTERMINALを導入していて(笑)。展示会にお邪魔した際に紹介いただく形ですぐに導入を決めました」現在では商品撮影からTERMINAL入力までは外部の会社に委託しているものの、最初は寺田さん自身がTERMINALへの商品写真や商品情報をアップロードしていたそうです。「使いやすいシステムだったのと、最初は型数も多くなかったので、それほど苦労することもなくアップロードも出来ました。商品情報も自分で書いて入れています。ブランド名の『YOKE』には“つなぐ”という意味があるのですが、僕としては服を作ってから卸先、そして最終的にお客さまの手に届けるまで“つなぐ”ことを自分の仕事として考えたいので、バイヤーさんに丁寧に説明したりする作業も苦にならないんです」数字やデータの可視化がデザインにも活かされる寺田さんはTERMINALを使うことによって、数字やデータがより可視化されたと話をします。一般的にクリエイティブな気質が強いデザイナーの方は、売上の数字を見ることに抵抗がある場合も多いですが、寺田さんはその逆。 「前の会社にいた時から分析をすることが好きでした。なぜこれが売れたのか、あるいは自分では気に入っている商品なのになぜ売れなかったのかを確認することは、次の企画をするときにも参考になります。もちろん売れたものばかり作っていると退屈なブランドになってしまいますが、そのバランスを考える上でもTERMINALで過去アーカイブを数字とともに確認できることは僕にとって大きいんです。以前は商品名と品番しか分からないオーダーシートを見返すことしか出来なかったのが、全ラインナップの画像と商品名、品番を確認することができる。過去アーカイブの確認が僕のTERMINALの活用法の一つです」そしてここには、ビジネスとしてだけでなく、発注先の工場とのパートナーシップを重視する寺田さんの姿勢があります。 「サンプルを作り、結果的に発注できる数が少なかったと工場さんに連絡をするのが辛いですね。発注数が少なければ、工場さんにとってもキツいし、ともすれば“嫌な仕事”になってしまいます。僕はそうなって欲しくないので、お互いハッピーな仕事になるように、ブランドを始めた時から“1型100枚”をひとつの目安にしています。時にはそうならない物もありますが、そこはすごく意識をしていますね」国内卸先を維持しながら、海外卸先の拡大へ現在『YOKE』は国内の卸先は十分に広がったと考え、今後は海外の卸先を増やすことを目標にしていると寺田さんは話します。「一時期TERMINALとは別の、海外セールスに強いデジタルオーダーのシステムも併用していました。ただ国内はTERMINAL、海外は別のシステムを使うとなると混乱もしますし、どうにも面倒で。実際そのシステム経由で来る問い合わせも、僕が商品を置いてもらいたいようなお店ではなかったし、アジア圏のバイヤーさんはTERMINAL経由で問題なくオーダーいただけているので、そのシステムは2シーズンで解約しました。現在も欧米圏は商品情報をすべてTERMINALで見せて、エクセルなどで来たオーダーをTERMINALに打ち込み、TERMINALのフォーマットで発注書を送っています。今のところはそれで十分ですね」国内卸先はスケールを維持しながら、海外取引先を拡大し、直営店でよりブランドの世界観を作るのが寺田さんが考える次なるステップ。「世界でも認知されるブランドにしていきたい」という寺田さんの想いは、実現に向けて進み始めています。TERMINALでは少ない人数でもブランドビジネスを効率的に拡大させるお手伝いが出来るよう、より使い易く優れたシステムを目指してサービスを充実させて参ります。