調査実施の背景ファッション業界の卸売取引では、展示会での受注から製造・納品・入金まで数ヶ月を要するのが一般的です。この長い商流サイクルは、特に中小規模の事業者にとって資金繰りの大きな課題となっています。当社はBtoB ECプラットフォーム「TERMINAL」を通じてこれまでに1,200以上のブランドの受発注を支援する中で、取引データだけでは見えにくい「お金まわり」の実態を把握するため、本調査を実施しました。調査結果から得られた重要なインサイトをレポートとして公開します。調査を通じて得られた5つのインサイト支払いが先・入金が後という構造的ギャップ、仕入れから入金までのタイムラグが、慢性的な資金不足を生む構造に64%が入金遅延を経験、売掛金が予定通りに回収できないリスクが日常化し、資金計画が立てにくい構造に資金調達手段は93%が銀行融資に一極集中、代替手段が浸透しておらず、急な資金需要に対応しにくい状況に新しい資金調達サービスに過半数が前向き、銀行融資一択の現状に対し、代替手段への潜在ニーズが明確に資金繰りに困った経験がある企業の約9割が新サービスに前向き、実際にペインを感じた層ほど、新たな資金調達の選択肢を求めているInsight. 1支払いが先・入金が後という構造的ギャップ、仕入れから入金までのタイムラグが、慢性的な資金不足を生む構造に実際に、51%の企業が「支払いが先に発生する」と回答しており、さらに85%の企業が入金までに2ヶ月以上かかると答えています。この背景には、ファッション業界特有の「受注 → 製造 → 納品 → 検収 → 入金」 という長い商流があります。その結果、最も負担の大きい支出である仕入れ・材料費・外注費(59%)が先に発生し、売上の回収は数ヶ月後になるというズレが生まれています。つまりこれは一時的な問題ではなく、個社の努力では解決しにくい“構造的な資金繰り課題”であると言えます。Insight. 264%が入金遅延を経験、売掛金が予定通りに回収できないリスクが日常化し、資金計画が立てにくい構造に資金繰りが不安定になるのは、構造に加えて「予測できない要素」が重なっているためです。まず、64%の企業が入金遅延を経験しており、売上があっても予定通りに現金化されないリスクが日常的に存在しています。さらに、92%の企業が季節変動ありと回答。展示会シーズンに受注が集中し、閑散期とのギャップが大きいのが特徴です。実際に資金繰りが厳しくなるタイミングは、「製造・仕入れ時」→「展示会準備」→「閑散期」→「納税時期」の順で発生しています。つまり、「読めない入金」×「波のある売上」 が重なることで、資金繰りの不確実性が常態化していると言えます。Insight. 3資金調達手段は93%が銀行融資に一極集中、代替手段が浸透しておらず、急な資金需要に対応しにくい状況に資金調達手段は銀行融資に一極集中しており、急な資金需要に対応しにくい状況です。実際に、資金繰りに困った際の調達手段は93%が銀行融資に集中しており、ファクタリングや政策金融公庫などの代替手段はほとんど活用されていません。一方で、融資には「書類準備の負担」「審査の長期化」「借入への心理的抵抗」といったハードルがあり、必要なタイミングで柔軟に資金を確保しづらい実態があります。また、必要資金は57%が500万円以上と一定規模である一方、仮に100万円を即日調達できる場合には、「広告・販促(33%)」や「運転資金(29%)」など、日常的かつ機動的な資金ニーズも確認されています。つまり、資金ニーズは存在するが、銀行融資以外の選択肢が浸透しておらず、スピードや柔軟性に課題がある状態と言えます。Insight. 4新しい資金調達サービスに過半数が前向き、銀行融資一択の現状に対し、代替手段への潜在ニーズが明確に新しい資金調達手段に対するニーズは明確に存在しています。4つのサービス(請求書カード払い/請求書ファクタリング/注文書ファクタリング/売上連動型資金調達)について、いずれも47〜55%が利用に前向きという結果となり、銀行融資が中心の現状に対して、代替手段への関心が広く存在していることがわかります。特に「請求書カード払い」と「売上連動型資金調達」は55%が前向きと最も高く、スピードや柔軟性を重視した資金調達ニーズが強いことが示されています。さらに、「支払いが先に発生する」企業ほど受容性が高い傾向が見られることから、キャッシュギャップを実際に抱えている層では、代替手段へのニーズがより顕在化していると考えられます。Insight. 5資金繰りに困った経験がある企業の約9割が新サービスに前向き、実際にペインを感じた層ほど、新たな資金調達の選択肢を求めている特に注目すべきは、資金繰りに困った経験がある企業(n=14)の受容性です。資金繰りのペインを経験した企業ほど、新しい資金調達手段へのニーズが明確に高まっています。資金繰りに困った経験がある企業では、各サービスの受容性が7〜9割と非常に高い水準となっており、実際に課題を抱えた層ほど強い関心を示していることがわかります。一方で、Web完結型サービスへの抵抗感を見ると、「抵抗がある」層では受容性が8〜25%まで低下するものの、「少し不安がある」層は「抵抗はない」層とほぼ同水準の受容性を示しています。つまり、完全な拒否層は限定的であり、多くは“理解次第で利用に転換可能な層”であると言えます。総括ファッション業界のBtoB事業者における資金繰りの課題は、個社の経営努力だけでは解消しにくい「構造的な問題」であることが明らかになりました。仕入れから入金まで数ヶ月を要する商流、季節変動の大きさ、入金遅延の常態化といった要因が複合的に重なり、資金繰りの不確実性を高めています。また、資金調達手段が銀行融資に一極集中している現状においては、スピードや柔軟性の面で課題があり、急な資金需要に対応しにくい実態も確認されました。一方で、新しい資金調達手段に対する関心は広く存在しており、特に資金繰りの課題を実際に経験した企業ではニーズがより明確に表れています。さらに、Web完結型サービスに対する抵抗感は一部に見られるものの、多くは理解や支援によって受容が進む可能性が示唆されました。これらの結果から、ファッション業界における資金繰りの課題は、構造的要因と既存手段の限界が重なった問題であり、十分に対応しきれていない領域が存在していることが明らかになりました。調査概要調査テーマ: ファッション業界における資金繰り・経理業務の実態調査調査方法: インターネット調査調査機関: 自社調査調査期間: 2026年3月有効回答数: 75名調査対象: TERMINALを利用するファッション業界のBtoB事業者留意事項: 複数回答可能な設問については、回答件数の合計が有効回答数と一致しない場合があります回答者の属性